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音物語

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【音物語10周年記念連載・第2章】

絶望のフチで見つけた答えと、新生「音物語」の誕生。すべての原点となった『つなぐ〜照平物語〜』

みなさん、こんにちは。音物語の高須昭平です。

前回の記事では、コロナ禍によってすべての公演がキャンセルになり、「もう音物語はやめようかな……」と、僕が完全に自信を失って立ち止まってしまったところまでをお話ししました。

活動停止の危機。 そんな暗闇のどん底にいた僕を救い出し、もう一度前を向かせてくれたのは、ある恩人の存在でした。

    

    

    

1. 恩人がくれた優しい問いかけ。「僕が本当にしたいこと」

    

未来が見えなくなり、すっかり自信をなくして立ち止まっていた僕の話を、その方はただじっと、優しく聞いてくれました。 そして、混乱している僕の心を解きほぐすように、一つひとつ、丁寧に問いかけてくれたんです。

「昭平くん、君は一体何がしたいの? また1人になって、歌が歌いたいの?」 「……いや、1人で歌いたいわけじゃないです」

「じゃあ、華やかなステージに立って、スポットライトを浴びて目立ちたいの?」 「……いや、別に目立ちたいとか、そういうことでもないんです」

恩人の方の優しい眼差しに導かれながら、自分の心の一番深いところにある本音へと、ゆっくり手を伸ばしていきました。 その果てに、僕自身の口から自然と溢れ出てきた、たった一つの答え。

「僕は、音物語がしたいです」

それだけでした。 音物語にしか出せない感動がある。音物語にしか表現できない世界観がある。それをお客さんに届けることで、たくさんの人の心が動かされたり、お互いに分かり合える言葉が生まれたりする。それがきっと、出逢ってくれた人たちの人生の「豊かさ」に変わっていくんだ。

恩人のおかげで、自分の中に眠っていた本当の想いに気づくことができた瞬間、消えかけていた心の火が、もう一度パッと灯りました。

「第2章を作ろう。これまでみんなと築き上げてきた土台や出逢いを大切な宝物として胸に抱きながら、この時代に合わせた『新しいカタチ』で、もう一度ここから届けていくんだ」

そう決意を固めました。とはいえ、世の中はまだコロナ禍の真っ只中。本当にまた人が集まってくれるのか、不安が完全に消えたわけではありませんでした。

そんな時、僕の背中をさらに力強く押してくれたのが、メンバーの美音(みお)さんでした。

     

    

    

2. 美音さんの一言から生まれた、すべての原点『つなぐ〜照平物語〜』

    

不安を抱える僕に、美音さんはこんな言葉をかけてくれたんです。

「ここからきっと、新しい音物語が始まっていくよ」 「ねぇ、一度、昭平君の人生を音物語にしてみたら?」

自分の人生を、物語にする――? それまでは「ブータとキランの冒険ファンタジー」を描いてきた僕たちにとって、それは全く新しい、未知の挑戦でした。

美音さんの言葉を信じて、僕は自分のこれまでの人生をじっくりと振り返ってみることにしたんです。楽しかったこと、苦しかったこと、自分の根底にある想い。1つ1つのエピソードを、まるで一本の映画を観るように客観視しながら、一編の物語へと紡いでいきました。

そうして生まれたのが、のちの『星に描いた約束』の原型となる、すべての始まりの演目、『つなぐ〜照平物語〜』です。

自分の生々しい人生と想いを乗せたこの公演は、ありがたいことに大好評をいただきました。「だから昭平さんは、今この活動をやってるんだ!」という、僕たちの根底にある一番ピュアな想いが、ダイレクトに聴き手の心に伝わっていく手応え。

「実話ベースの音物語」という、現在の僕たちの唯一無二のスタイルが、まさにこの瞬間、産声をあげたのです。

    

    

    

3. しんくんとの出逢い、そしてその場で伝えた本気のお願い

    

この『つなぐ〜照平物語〜』の公演に、サポートとして入ってくれたパーカッションの演奏者がいました。それが、現在のメンバーである新(しん)くんです。

当時のしんくんはすでに演奏者としてしっかりとキャリアを積んでいて、2005年からずっと音楽の世界を歩んできた打楽器奏者でした。そんな彼が、公演が終わったあと、そっと僕に声をかけてくれたんです。

「今日の演奏とても良かったよ。実話の物語って、特にいいよね。この形、今まで数々の演奏を体験してきたけど、ありそうでなかった世界だったよ。本当にめちゃくちゃいいと思うよ」 「もし、自分に手伝えることがあったら、何でも言ってくれていいからね」

しんくんがそう言ってくれたからこそ、僕はもうすかさず、こう返していました。

「じゃあ、1つお願いしていいですか。音物語のメンバーになってもらえませんか?」

これがきっかけとなり、2020年12月20日、しんくんは音物語の正式メンバーになってくれました。

 

 

こうして、コロナ禍の絶望から、恩人との対話、美音さんのアイデア、それからしんくんの加入という不思議なご縁がピタピタとハマり、現在の「音物語メンバー」が誕生したのです。

素晴らしい仲間が揃い、自分たちのルーツを表現する武器を手に入れた僕たち。 ここから音物語のステージは、「僕の物語」から、さらに新しい方向へと進化していくことになります。

(第3章へ続く)